『栄冠は君に輝く』
『歴史秘話ヒストリア』、好きなんです。
おととい、たまたまテレビをつけたら再放送をやっていて、そうしましたら、現在の朝ドラのモデル小関裕而さんのお話でした。そりゃ、やりますよね。
観ておりましたら、戦後になり、全国高校野球選手権の歌を作ってくれと言われて甲子園球場のマウンドに立ってみたら、メロディが溢れてきたというようなエピソードがありました。
ここまで、「イイハナシダナー」なんですが。
私が改めて感じたのは、この『栄冠は君に輝く』というタイトルの素晴らしさ。
いや、もちろん、小関さんは詩に曲をつけた方なのでタイトルそのものにはあまり関係ないとは思うのですが。
もちろん、歌詞あってのタイトルでございます。歌詞もいい。
ただ、端的に全てを表すこのタイトル。
「栄冠は」
「君に」
「輝く」
この言葉はこれだけ短いのにも関わらず、これから試合に挑む人、試合に挑んで敗れた人、そして最終的に勝利を勝ち取った人、試合に挑む高校生たち全員を「君」とできるところが素晴らしい。
栄冠は、戦って勝ち得るものです。つまり、試合に挑む全員に対し、栄冠は「君」に向かって「こっちに来て摑み取れ」と言うわけです。
「君に向かって」と加えられるところを、そんな野暮ったいこと言わんでも分かると「向かって」をごっそり削る。削っても伝わるこの感じ。
ちなみに、あまりに気になって助詞「に」を改めて確認しましたらば、連用修飾語を作るんですね。用言、つまり動詞を説明する。なので、「君に」の言葉は「輝く」の部分を飾っているわけです。
ですから、文章としては「栄冠は輝く」の中に、「何に対して輝くのか」という相手を差し込んでいるわけです。なので、文法的な問題としては、決して「栄冠」が「君」を飾っているのではなく、栄冠は一人で勝手に輝いているのではなく、それを得ようとする「君」に対して輝いているのだ、というところにスポットが当たるのですね。
文章としては「栄冠」が主役、主語なんだけど、高校野球は「君」が主役。
こういう文章になるのは、大会とは栄冠を得る場所なわけですから、ある意味では、栄冠が主役になるのだなと。参加者が主役なのはもちろんなのですが、参加者である「君」に対して大会優勝という「栄冠」が誘いかける、みたいな感じですかね。
最高。
こういうシンプルでまっすぐなの大好きなんです。
歌詞の内容も、とにかく野球をやることの楽しさに満ち溢れていて、ネガティブな部分ゼロ。これ聞いたら楽しくなりますよ〜。
・・・なんというか、今できることを何も考えずにただ謳歌する。それがどれだけ幸せなのかっていうことですよね。
私は今 幸せですよ。グフっ。
(最近息子がグフグフ笑うのでマネ)